チャンピラ日記(仮)

電気も水道も無い場所でコハル(犬)と暮らすコミュニティ開発隊員の日常

出る杭は打たれる~その後~

携帯を見ると「着信あり」の表示。

亡くなったLさんからでした。

先週の土曜日。サイレントにしていた携帯を見ると2件の着信。

1件は知らない番号。

もう1件は亡くなったはずのLさん。

 

驚きすぎて鳥肌立った。

 

折り返すとコール音は鳴るものの誰も出ない。

もう1件の電話番号に折り返すと、女性が出た。

「アリサ!!!!!!Mrs.Lだよ!!!!!」

 

お葬式に参加したかったけど諸事情により行けなくて

(というより行かせてもらえなかったに近い)

Lさん家族の動向をずっと気にしていたけど、

Lさんの故郷であるRumphi(ルンピ)に引っ越した、ということ以外分からず、

誰の連絡先も知らず、このまま会えずに何もできずに帰るのか…

と思っていたので、不謹慎だとは思うけれど電話をくれたことがすごく嬉しかった。

 

 

マラウイでは、亡くなった人の故郷でお葬式をやるようで

Lさんの場合はルンピ県というチャンピラから200kmほど北にある場所で行ったそう。

お葬式のあと、家族でしばらくルンピにいたのかな…と思っていた。

 

「今ムジンバ(チャンピラがある県)に帰ってきてるから会いたい!」

とのことで、Lさんの奥さんに昨日会いに行ってきました。

 

待ち合わせ場所の教会で待つこと20分。

来たのは奥さんではなく年配の女性。Lさんの家まで連れて来るよう頼まれたとのこと。

連れていかれたのは、教会から15分ほど歩いた場所にある大きな家。

「家族みんなで住めるように大きな家を探しているんだ!」

と言っていたLさんを思い出して一人でしんみり。

 

家の中からは泣き声が聞こえてきていた。

あー、スモールワン(いくら聞いても名前が分からず、3歳くらいの末っ子だったので失礼ながら勝手にsmall oneと呼んでいた)かなぁ、

なんかいたずらしたのかなーと思いながら家にお邪魔すると

家にいたのは奥さん1人。

泣いていたのは奥さんだった。

 

Lさんが死んじゃった、悲しくて仕方がない、と泣く奥さんに、

そうだよね、としか声を掛けてあげられない私。

辛すぎて、亡くなってから1度もLさんの写真を見ていないらしい。。

 

亡くなった原因については、前回の記事にも書いた通り

とある病気だったみたいだけど、

「そんな兆候全くなかった。前日まで元気だったのに急に死んじゃった。

・・・彼はきちんと教育も受けていたし良い仕事もしていたから・・・・」

みたいなことを言っていた。

 

これからどうするの?と聞くと、

「私は仕事をしていないしできることが何もない。これからLさんの実家にお世話になる」

とのこと。

 

マラウイ人には、「父」「母」がたくさんいる。

日本だと、自分を産んだり育てたりした人のことを父母と呼び、

家庭の事情にもよるがそれぞれ1人ないしは2人の場合が大多数だと思うけど、

マラウイは違うみたい。

宗派や地域によっても異なるかもしれないし、

私の理解が間違っている可能性もあるので詳細は避けますが、

ざっくり言うと

「母の姉妹はみんな母」「父の兄弟はみんな父」

「親の兄弟姉妹の子供は自分の兄弟姉妹」「兄弟姉妹の子供はみんな自分の子供」

This is my brother!と言いながらも両親が違っていたり

This is my grandchild, but not my real daughter's child.とか

私の価値観だと理解が難しいことをマラウイ人に言われて

???????となっていたけど、こういう事情だったらしい。

私を迎えにきてくれた女性も、奥さんの「母(one of my mothers)」だった。

 

大黒柱がいなくなったLさん一家は、これからはLさんの実家で生活するとのこと。

Lさんの兄弟が「夫・父」としてLさん一家を支えていくのだと思う。

 

ずっと気になっていたことがあった。

「子供たちは?」

 

しばらく一緒に住めないの…とまた泣き出した。

1人はルンピの親戚の家に預けられ

女の子はMzuzu(ムズズ)にいるLさんの姉妹が預かり

もう1人はKatete(カテテ、チャンピラの隣)のミッション系学校に通っているのでそのまま。全寮制かな。

末っ子のsmall one はなんとBlantyre(ブランタイヤ)にいるとのことだった。

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上から、ルンピ、ムズズ、ムジンバ、カテテ、ブランタイヤ

3人は全員北部にいるから4時間も移動すれば会える。

けど、ブランタイヤは南部にあるマラウイ最大の都市。

行くのに最低でも半日はかかる。

11月に引き取りに行く予定みたいだけど、

小学生にも満たない子が500km以上離れた場所に預けられているなんて…。

はっきりとは聞いていないけど、恐らく金銭的な理由によるもの。

 

子供に会いたい、と号泣する奥さんを見るのが辛かった。

 

マラウイ人はすぐに「自分たちは貧乏だから助けて!」「金くれ!」と言い出すし、

「日本に行きたいけどお金無いからお金出して!」とか

ツッコミどころしかない意味不明なことを初対面の人が言ってきたりするのに

奥さんは私に「支援して」「お金を貸して」といった類のことを一切言わなかった。

ただ1つ言ったのは、「Katete(うちから歩いて20分)にいる子供の様子を見てきてほしい」

 

私は、目の前にいるLさん家族に何もできないのに

ここに居る意味があるのかしら?